介護現場における人手不足が叫ばれる中、厚労省は外国人の訪問介護を解禁する方針を発表しました。
本記事では、方針の内容と事業者に求められるルールをまとめます。
目次 介護現場の人手不足 訪問介護ができる外国人材は? 企業に求められる5つの要件 まとめ |
介護現場の人手不足
~特に訪問介護従事者の高齢化が顕著~
介護が必要な高齢者を支える介護職員の数は、2022年時点で215万人でした。
2024年には約280万人、さらに2025年度には約243万人の介護職員が必要になる見通しで、
人材を確保できなければ介護保険のサービスを十分に提供できなくなる恐れもあります。
2022年度の有効求人倍率は全職種で1.19倍、介護業界全体で3.88倍だったのに対し、
訪問介護は15.53倍となりました。
出典:「令和6年後介護報酬改訂等に向けた要望」介護給付費分科会 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001150393.pdf
また、訪問介護に携わるヘルパーなどの職員の4人に1人が65歳以上で高齢化も進んでいます。
住み慣れた家での老後の生活を支える訪問介護のサービスを維持するため、
いかに介護人材を確保できるかが課題となっています。
訪問介護ができる外国人材は?
そもそも、国内で介護サービスに従事することができる外国人の在留資格は4種類あります。(2024年5月時点)
「特定技能」・・・31,453人 「技能実習」・・・15,909人 在留資格「介護」・・・9328人 EPA「特定活動」・・・3104人 |
このうち訪問介護への従事が認められているのは、
在留資格「介護」とEPAで入国した「特定活動」のうち介護福祉士の資格を持つ700人あまりに限られていました。
そこで厚生労働省は6月19日の審議会にて、
「技能実習」や「特定技能」の外国人材も条件を満たせば従事を認める方針を決定しました。
その要件として、
- 介護の基礎知識や技術を学ぶ「介護職員初任者研修」を修了していること
- 介護福祉士の資格をもつこと
などを挙げています。
またこの他に、利用者との対話能力を高め、日本の生活様式を学ぶ研修の実施も要請するとしています。
企業に求められるの5つの要件
厚労省は外国人を採用する事業者の要件として5つの要件を挙げました。
1. 外国人への研修について、訪問介護の基本事項、生活支援技術、利用 者・家族・近隣とのコミュニケーション、日本の生活様式などを含むものとすること。 |
2. 訪問系サービスの提供を1人で適切に行えるよう、一定期間、サービス提供責任者が同行するなど必要なOJT(職場内訓練)を行う。その回数や期間については、利用者や外国人の個々状況により、事業者が適切に判断すること。 |
3. 業務内容や注意事項などを外国人に丁寧に説明し、その意向などを確認しつつ、外国人のキャリアパス構築に向けたキャリアアップ計画を作成すること。 |
4. ハラスメント対策の観点から事業所内で、 。ハラスメントを未然に防ぐやめの対応マニュアルの作成・共有、管理者 らの役割の明確化 。発生したハラスメントに対処するルールの作成・共有 。相談窓口の設置や相談しやすい職場環境づくり 。利用者・家族らに対する周知 など必要な措置を講じること。 |
5. 外国人の負担を軽減したり、訪問先での不足の事態に適切に対応したりする観点から、介護ソフトやタブレット端末の活用による記録業務の支援、コミュニケーションアプリの導入、困りごとが相談できる体制の整備など、ICTの活用も含めた環境整備を行うこと。 |
厚労省はこうした要件を遵守させるため、
必要な体制・計画などを明らかにする書類を事業者に提出させるとしています。
まとめ
外国人の訪問介護従事の解禁に関して解説してきましたが、いかがでしたか?
厚労省によると、今後さらに具体化の検討を進め、準備が整い次第順次施行するとしています。早ければ来年度にも施行される見通しです。
今後の記事では、引き続き外国人材に関するトピックを紹介していきます。
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