この記事を読むとこんなことがわかります
▶ 技能実習/特定技能それぞれのおさらい
▶ 技能実習と特定技能の主な違い7つ
▶ 企業にとってのそれぞれのメリット・デメリット
▶ どちらの在留資格の求職者を選べばいいのか
これらの情報をもとに、技能実習・特定技能それぞれの在留資格の特徴をご理解いただける内容となっています。
目次
① おさらい 技能実習 / 特定技能について
② 技能実習 ・特定技能 主な違い7つとは?
③ 受け入れ企業にとっての それぞれのメリット・デメリットとは?
④ どちらを選ぶべき?「技能実習生」と「特定技能」の選び方
⑤ まとめ
導入
日本の多くの企業が抱える「人材不足」という課題に対して、外国人労働者の活用が一つの解決策となっています。
その中でも「技能実習」と「特定技能」という2つの制度は、それぞれ特徴が異なり、企業がどの制度を選択すべきか迷うところです。
この記事では、技能実習と特定技能の違いをわかりやすく解説し、それぞれのメリットとデメリットを踏まえた上で、企業に合った制度選びのポイントについてご紹介します。
①技能実習/特定技能それぞれのおさらい
まずは、技能実習制度と特定技能制度について簡単に説明します。
【技能実習制度】
発展途上国などの外国人を対象に、
日本の企業で実際に働きながら特定の技能や技術を学んでもらう制度です。
学んだ技術を母国に持ち帰り、経済発展に貢献することを目的としています。
【特定技能制度】
日本国内で特定の業務に従事するために、
一定の技能や知識を持つ外国人を対象とした在留資格です。
人材不足が深刻とされる特定産業分野において即戦力として期待されています。
②技能実習 ・特定技能 主な違い7つとは?
技能実習制度と特定技能制度には、いくつかの違いがあります。
一番重要なのは、制度の目的の違いです。
なぜかというと、それぞれの制度が求めている外国人労働者の役割が異なるからです。
【技能実習制度】は、外国人が技術を学び、母国に貢献するための制度です。
【特定技能】は、日本の労働力不足を補い、即戦力となる外国人材を受け入れるための制度です。
このように、技能実習制度は「母国のための学び」を主とし、
特定技能制度は「日本の労働力を補う」ことに重点が置かれています。
そのほかの主な違い7つをまとめておきました。
下記の表を参考にしてみてください。
③受け入れ企業にとっての それぞれのメリット・デメリットとは?
【技能実習】
〈メリット〉
①3年〜5年長期的に働いてもらうことができる
転職ができないため、3年間以上はほぼ確実に働いてもらうことができます。
②人材確保が比較的簡単
技能実習では送り出し機関を活用することで集客を行うため、比較的簡単に人材確保が可能です。
〈デメリット〉
①外部コストが高い
技能実習制度では、入国時の航空券や技能検定試験費用、資材の準備費など、
多くの中間団体が関与するため、間接的なコストが発生します。
②受け入れまでの時間が長い
技能実習制度では国内人材ではなく海外からの人材を迎えるため、
入社までにどうしても時間がかかってしまいます。
③能力が基準に達していない場合がある
技能実習制度には、特定技能と異なり入国時の試験がありません。
(介護分野のみ日本語能力N4レベルが求められます)
そのため、必要なスキルを十分に備えていないケースもあります。
事前に自社が求めるスキルを明確に検討しておくことが大切です。
④受け入れ後の事務作業が煩雑
技能実習制度では、技能実習日誌の作成など、
受け入れ後に提出が義務付けられている書類対応があり、事務手続きが増える傾向にあります。
⑤従事できる業務内容に制限がある
技能実習制度では、職種だけでなく作業内容まで詳細に定められているため、
日本人と同様の業務に携わることができない場合があります。
技能実習制度の目的が「教育」に重点を置いているため、長期的な人材確保や即戦力としての活用には不向きなケースもあります。
受け入れ人数に制限があることもデメリットと言えるでしょう。
【特定技能】
〈メリット〉
① 外部コストが少ない
特定技能では、技能実習と異なり「監理団体」「技能実習機構」「送り出し機関」などの
中間団体が介在しないため、間接的な費用がかかりません。
そのため、外部コストを抑えた形で外国人人材を採用することが可能です。
② 受け入れ人数に制限がない(介護と建設分野を除く)
特定技能では、介護と建設分野を除いて受け入れ人数の制限がないため、
企業の人材不足に応じて必要な分だけ採用が可能です。
③ 受け入れまでの期間が短い
特定技能では、国内在住者も採用できるため、
海外から人材を呼び寄せる技能実習制度よりも迅速に受け入れが可能です。
④ 技能や日本語能力が高い
特定技能では、入国時に技能や日本語能力の水準を試験で確認することが
出入国在留管理庁により定められており、「相当程度の知識または経験が必要」とされています。
そのため、能力の高い外国人人材を確保しやすくなっています。
⑤ 受け入れ後の事務負担が少ない
特定技能では、間に入る団体が少ないため、
発生する事務作業も比較的簡潔でスムーズに行えます。
〈デメリット〉
① 転職の可能性がある
特定技能では、転職が可能な制度のため、他に条件の良い仕事が見つかった場合、
すぐに転職されてしまうリスクがあります。
そのため、受け入れ後は、外国人が職場に定着できるようなサポートや取り組みが必要です。
② 企業都合の退職者がいると申請不可
特定技能外国人の受け入れに関するガイドラインによると、
申請から過去1年以内に特定技能外国人と同じ業務に従事していた労働者(日本人も含む)が
企業都合で退職している場合、申請が認められません。
やむを得ない理由による場合は例外として申請可能ですが、
その際は理由書の添付が必要です。企業都合の退職者を出さないよう留意することが求められます。
③ 人材確保がやや困難
特定技能は、外国での試験が限られていることがあり、
技能実習と比較して人材を確保するのがやや難しい傾向があります。
特定技能では、企業が労働者の生活支援や日本語サポートなど、一定のサポート体制を整える義務があります。
そのため、受け入れにかかる費用や管理体制の構築が負担になる場合があります。
④どちらを選ぶべき? 「技能実習生」と「特定技能」の選び方
企業のニーズに応じて選択することが大切です。
例えば、短期的に特定の技術を身に着けて母国で活かしてもらいたい場合は「技能実習」が適しています。
一方で、長期的に即戦力として活躍してほしい場合には「特定技能」の方が良いでしょう。
各資格の目的や労働条件を踏まえて、企業の事業内容や計画に合った人材を選びましょう。
まとめ
技能実習と特定技能の違いや、各制度の特徴について理解していただけたでしょうか。
企業のニーズに合った外国人人材を活用することで、安定的な人材確保と事業の成長が期待できます。
自社にとってどの在留資格が最適なのか相談したい、もっと詳しく聞きたい、受け入れの際のサポートをお願いしたいなど、ご相談あればお気軽にお問い合わせください。